新年度はお弁当生活がスタートするジュニアアスリートも多い時期であるとともに、新しいお弁当箱に買い替える親御さんも増えます。給食に慣れると、いざお弁当と作るときに献立がなかなか決まらなかったり栄養面で不安を覚える方は少なくありません。
この時期に特によくあるのが、「理想のお弁当はどのような内容?」という疑問です。そこで、今回はジュニアアスリートにとって理想的なお弁当についてお話します。
エネルギー不足のジュニアアスリートが増加中
最初にお伝えしたいのは、「エネルギーが足りていないジュニアアスリートが増えている」という現状です。ジュニアアスリートが成長すべきなのは運動能力だけではありません。しかし、この成長や場合によっては生命の維持に支障をきたすエネルギー不足のケースも少なくないのです。
運動をする時間が長いかどうかに関係なく必要なエネルギーは2種類で、「発育のため」と「生活のため(生きるため)」のエネルギーがあります。さらにジュニアアスリートの場合には「運動に使うエネルギー」も必要になります。
高校生までの期間はスポーツに力を入れていても発育と生活のためのエネルギーが最優先です。この時期に運動に使うエネルギーが最優先になると、体の発育に夜身長の伸びだけでなく、脳の発育にも支障をきたします。
そして、現代のジュニアアスリートで栄養が十分に足りている割合は1割にも達していません。学校の授業で先生の話に集中できなかったり居眠りしてしまったりすることが多い場合は栄養が不足しているサインです。 朝食を毎日食べている中学生はあまり食べない中学生と比較すると、体力測定も学力テストも成績がいい傾向が見られます。朝からトレーニングがあるジュニアアスリートには朝食はもちろん、午後の学業とトレーニングのためにも昼食のお弁当による十分なエネルギー補給は重要です。
理想的なお弁当箱の大きさとおかずの割合は?
お弁当箱の大きさは性別と年齢、体格、運動の強度で理想が異なります。17歳で体重60kgのサッカーの男子であれば、3420kcalが必要です。この数値は厚生労働省がホームページで日本人の基礎代謝標準値を示しているので参考にしてみてください。
お昼ごはんのお弁当は1日に必要なエネルギーの3割が目安です。例えば、この例のサッカー選手なら1000kcal以上が必要と考えます。そして、この数字をそのままお弁当箱の大きさの数字が理想のお弁当箱の大きさで、この場合は1000ml以上のサイズが目安です。
エネルギーは4割から5割をご飯から摂取することが理想です。2段になっているお弁当箱なら1段をご飯にします。主食をお米にするとスムーズに消化してエネルギーを補給できて栄養バランスも整いやすいので、お弁当の主食の基本はお米と考えてください。
お弁当箱の中身については黄金比を覚えておきましょう。主食の3に対して副菜が2、主菜が1です。2段のお弁当箱の残り2段に主菜1に対して副菜2の割合と考えると簡単で、おかずを決めやすくなります。
この割合は鶏の唐揚げや焼き魚のようなたんぱく質だけのおかずの目安です。野菜の肉巻きのような野菜をしっかり使う主菜の場合には副菜の割合を少し多めにし、同じ程度の量にしてください。 特にしっかりと補給したい栄養素は疲労を回復させるビタミンCと食事からだけでは十分に補給しにくいカルシウムです。お弁当にチーズやフルーツを添えられるとさらに理想的です。
無理に食べることは逆効果
ここまで理想的な摂取カロリーとお弁当箱の大きさについてお話してきましたが、今の時点ではとても追いつかないという場合は無理しないでください。大人と同じでたくさん食べられる子もいれば、もともと食が細い子もいて、これは個性です。
普段から食べる量が少ない少食なら、白いごはんが進むトッピングでカロリーと栄養価を増やしてお米が進みやすくしてあげてください。炒り卵やそぼろ、ちりめんじゃこ等は良質なたんぱく質を増やせます。複数のふりかけを添えて選ぶ楽しみをプラスしても良いでしょう。
食べる量はいきなり増やせるものではありません。理想のサイズのお弁当箱が大きすぎるなら食べきれるだけのお米の量にし、残りは補食としておにぎりにすると無理なくかつ効率よくエネルギーを補給できます。
甘いものでカロリーを満たしても構いませんが、小麦がメインの菓子パンやケーキ、クッキー類よりもようかんや大福等の和菓子やカステラがおすすめです。ただし、あくまでも補食であり、食事が進まなくならない程度にしましょう。
最後に、エネルギーの高い油で調理する方法についても触れておきます。鶏肉なら焼き鳥の代わりに唐揚げにすればエネルギー量は増えますし、おむすびにごま油やマヨネーズを使う方法もあります。焼き魚は食べづらいけれど唐揚げや天ぷらなら食べやすい子も少なくありません。
ただし、油の摂取量が多くなると消化への負担も大きくなるので、油に頼らないことは大切です。特に大切な試合の前後には緊張で消化能力が弱りがちなので、油の多用は避けるように心がけてください。
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