年末年始は誰でも1年の中で特に食生活が大きく変化する時期です。ジュニアアスリートも普段の練習が正月休みになって自然と運動量が急に少ない日が続きがち。正月太りを気にする声は本人以上に親御様からよく聞かれます。
今回は毎年気になる年末年始の体重管理、つまり「正月太り」についてお話します。お正月に限らず、数日間のイレギュラーな生活スタイルが続く時にも参考にしてみてください。
お正月に体重が増えてもいいということ
年末年始は1年の中でも食生活が大きく変化する時期です。普段はほぼ毎日数時間ある練習時間がお休みになり、いつもは自宅にいられない時間に自宅にいられ、食べることもテレビの前でごろごろしながらのんびり過ごす時間をどっぷり楽しみたい気持ちが芽生えても不思議ではありません。
そもそもお正月に家族がいる自宅でのんびり過ごせることは有意義で幸せなこと。日本のお正月の伝統的な過ごし方です。お正月らしく過ごす日々で1週間も経たないうちに体重が3kg増えてもおかしくありません。
「三が日で体重が3kgも増えた息子、どうすれば?」と聞かれたら、私はこう答えます。「落ち着いて、とりあえず何もしないでください。」
もちろん理由があります。この程度の期間でいきなり体重3kg増えても、脂肪は増えていないのです。では何が増えたのか。それはおおまかに2種類で、一つは体内でエネルギー源になるグリコーゲンという糖質が結びつきあう水分、そして便等の胃腸の中身です。
これらは年末年始の特別な過ごし方から普段の生活に戻せば、自然と元に戻っていきます。つまり、とりあえず何もしなくていいのでご安心ください。
体内時計はしっかりリセット
「とりあえず」ということは、何もしなくて体重が戻らない、場合によってはまだ増える可能性もゼロではないということです。当てはまっていそうな気がしたら、体内時計が乱れていないかチェックしてみてください。
朝いつもなら起きられる時間になっても起こされないと起きられない、机に座るとすぐ眠くなる、夕食後にお腹がすいて就寝時間が遅くなっていく等は体内時計の調整が必要な状態です。
最初に強く意識したいのは、「朝の光をしっかり浴びて1日をスタートする時間」を日課にすることです。そもそも私達の体内時計は24時間プラス10分程度。この10分のずれを正す役割を果たしてくれるのが朝日です。
目が開かなくてもとりあえずカーテンは開ける。朝日が当たる席で朝食をとる。ここからリセットしてください。飛び起きてパンを牛乳で流し込んで登校のような流れが定着すると1週間は修正に時間を要するので根気が必要かもしれませんが、改善します。
ここで怒鳴ったり不機嫌な対応をしたりすることが親の日課になるとストレスが原因で修正しづらくなるので要注意です。
過剰な食事制限は厳禁
「痩せる=食事量を減らす」と考えるのは正しくありません。特にジュニアアスリートにとってカロリーはスポーツにおけるパフォーマンスを支えるために必要十分であることが大切です。用意する食事量を減らすというアプローチは専門的な知識によるものでなければ控えてください。
最初にお話ししたように、急な体重の増加は脂肪が増えた、つまり太ったわけではありません。むしろ食事量を減らして空腹感に耐えるようになると、リバウンドによる過食行動で体重が不健康に増える可能性も考えられます。
お菓子類をなんとなく食べる、甘いものや炭酸飲料をなんとなく飲むという日々は次のお正月休みのお楽しみにし、朝日をしっかり浴びながら朝食をとり、食事と補食の時間だけに食べる生活サイクルを親子で、イライラせずにゆっくり戻そうとすれば必ず健康的に戻ります。
体重が戻るまで〇カロリー以下や揚げ物禁止、ご飯は1膳までといったようにボリュームと数字にばかりこだわらないことは本人も周囲の大人も一緒に大切です。カロリーに振り回されることと空腹に耐えることは、もしも減量が必要になったとしても絶対に避けなければいけません。
「食べる時には食べる、食べない時には食べない」なら、体重は自然と戻ります。お正月太りに限らず、ぜひ覚えておいてください。練習前後の補食も含め、食べる時にはしっかり食べるのが大正解であり、理想的な食生活における基本中の基本です。
最後に、「痩せないと」「太ったよ」といった言葉はマイナスにしかならないこともぜひ覚えておいてください。
コメント