「時間がない」、「食欲がない」「食べるより寝ていたい」という理由で朝食を食べないジュニアアスリートは少なくありません。しかし、プロのトップアスリートは朝食をしっかり食べ、休みの日でも抜くことはしません。
そこで、今回はジュニアアスリート自身が知っておくべき「朝食が重要な理由」について説明します。
■自宅での朝食が重要な理由
まず、毎日の朝食がどのような効果をもたらしてくれるのかお話します。朝食は、脳と心と体のどの成長にも欠かせない食事です。朝食を食べて学校に行くと、1時間目から勉強に集中しやすく、学力を伸ばしやすくなります。
特にジュニアアスリートの場合は、トレーニングの成果が出やすく、技術を効率的に高められます。しかし、実際には「毎朝必ず朝食を食べる」子どもは全体の5人のうち1人か2人のみです。この1人や2人にはシリアルや菓子パンだけという子どもも少なくありません。
エネルギーが足らない状態で運動し続けると、筋肉や血液が弱ってケガしたり貧血になったりしやすくなります。さらに、脳がエネルギー不足になることで、どうするべきか自分で考えてプレーしたり、指導された言葉の意味を考えたりしにくくなります。
スタミナ不足で、その日の気温や湿度、体温に体調を合わせられなくなるので、思うように体が動かなくて、前日の疲れが残ったままで十分なパフォーマンスができません。そこで注意したいのが「給食を残さなければ大丈夫!」という考え方です。
給食は、毎日スポーツをしていない子どもを想定したメニューを作成します。つまり、朝からトレーニングをしたジュニアアスリートが、午後の授業やトレーニングに必要なエネルギーは含まれていないと考えてください。
もともと子どもは、同じ体重でも基礎代謝量が大人より多く、小学校高学年になると大人よりも多くのカロリーが必要です。基礎代謝量とは、1日中寝たままの状態で消費されるエネルギーなので、トレーニングするジュニアアスリートは、大人よりも多くのカロリー摂取が求められます。
競技や性別、体格や年齢で消費するカロリーは変わりますが、例えば、週3日以上練習があるサッカー男子のジュニアアスリートなら、小学校中学年でも1日2500キロカロリーは必要です。この3分の1を朝食でとることを目安としてください。
カロリー計算が難しければ、小学校低学年でお母さん、中学年でお父さんと同じ量を食べるとイメージしてください。朝食をとらないと、それだけのカロリーを夜に補うことになり、睡眠が浅くなって、朝起きてもお腹がすいていないという悪循環が定着してしまいます。
■たんぱく質を選んで早寝早起き
しっかりと食べる朝食の時間を日課にするために、まずやれることは、早寝早起きです。早起きすれば自主練習ができ、宿題の時間も持てます。そのためには、早く寝て十分な睡眠時間で脳と体を休ませる必要があります。
睡眠時間が8時間以下の選手は、8時間以上の選手に比べてケガをしやすいと言われています。プロを目指すなら、ジュニアアスリートの時期から「今日は22時には寝るために30分間集中して宿題を仕上げよう」と計画を立てることが習慣にできると理想的です。
起きた直後に、朝食をしっかり食べることは誰でも難しいので、朝食の20分前には起きましょう。自分で選んだ食事は食べやすいので、前日のうちに、翌日の主食を本人が選ぶ習慣もおすすめです。
卵料理は、オムレツか目玉焼きか、主食はお茶碗によそったご飯かおむすび、もしくはうどんなのかといったように、本人が選ぶと翌朝の食欲につながります。パンなら食パンなのか、ロールパンなのか等を自分で選ぶことは、今から始められる自己管理です。
ただし、パンの場合は脂質が多くなりやすいことは意識しておきましょう。ソーセージやベーコン等の加工肉を添えるなら、バターよりジャム、スクランブルエッグよりゆで卵を選ぶと脂質の量を調整できます。
現時点で、朝食の習慣がなかったり、いつも同じ献立しかなかったりする場合には、選択肢を作ってサポートしてあげてください。「今朝パンだったから明日はご飯にする?お茶碗で食べるのとおむすびとどっちがいい?パンなら今日はゆで卵にするね」といった感じです。
■いきなりフルコースでなくてもいい
ジュニアアスリートの朝食で大切なのは、食事の量です。朝食では、1日で摂取するエネルギーの3割を目安にします。1日に2500キロカロリー必要なら、800キロカロリー程度です。かなり多いと感じるかもしれませんが、朝からしっかり運動するなら適量と言えます。
ですが、いきなり一汁三菜のフルコースである必要はないですし、むしろおすすめしません。まずは、スムーズにエネルギー源になる糖質を摂取することから慣れてください。栄養バランスを整えることばかりに重点をおくと、脂質やたんぱく質は消化に時間がかかるからです。
朝食が消化しきれていないと、パフォーマンスに集中できず、胃もたれや腹痛、下痢等のリスクがあります。現時点で、朝食が牛乳やゼリー等だけなら、まずは糖質にたんぱく質を添えることから始めてください。
そこに、ビタミンとミネラルを、野菜や果物で少しずつ添えながら、栄養フルコースを目指しましょう。ただし、朝食後すぐに激しいトレーニングや試合がある場合は、おにぎりやうどん、お餅、カステラ等は食べやすくておすすめです。
いかがでしたか。今回は、ジュニアアスリートにとって、いかに朝食が重要かをお届けしました。ぜひ毎日の朝食で、栄養補給だけでなく、生活リズムも整えていきましょう。