オーバートレーニング症候群

オーバートレーニング

「オーバートレーニング症候群」という症状を聞いたことがありますか?質よりも量にばかりこだわることで発症してしまうので、ジュニアアスリートには周囲の大人の知識や気づきが求められます。 

本人や周りも気がつかないうちに発症してしまうと、トレーニングや試合で慢性的な疲労感を覚えるだけでなく、精神状態や日常生活にも支障をきたす可能性があるので要注意です。 

そこで、今回はこのオーバートレーニング症候群についてご説明します。 

目次

「オーバートレーニング症候群」とは?

オーバートレーニング症候群は「慢性疲労症候群」と言われることもあります。読んで字のごとく、日々の休みないハードなトレーニングやパフォーマンスで、肉体的にも精神的にも疲労がしっかりと回復しないままどんどん蓄積されることが原因で起こります。

トレーニングの成果は、日常生活の中の生活動作よりも負荷がかかる運動をすることで効率よく得られます。とは言っても、トレーニングの量にこだわり過ぎると、トレーニング後の疲労がきちんと回復されなかったり食欲不振になったりします。

その結果、トレーニングで得られる効果や、本番での記録や成績も伸び悩んだり下げ止まったりしがちです。こうなると誰でも「もっと練習しないといけない。練習のキツさが足らない」と焦り、誰よりもハードに練習をしようという思いに駆られて発症につながります。

オーバートレーニングを、よくある疲れや筋肉痛と区別するのは大人でも困難です。もしも異変を感じても伝えずに我慢してしまう、まじめな性格の子供こそ発症しやすいので、特に親御さんがすぐに気づいてあげる必要があります。

オーバートレーニング症候群の症状が進めば進むほど、トレーニングを中止せざるを得ない期間が長引き、最悪のケースは、競技復帰できない可能性もあります。周りの大人による早期発見が非常に重要というわけです。

この症状は、スポーツやレベルと関係なく発症します。ジュニアアスリート本人が避けにくいからこそ主なサインを知っておきましょう。その三大サインは「意欲低下・強い疲労感・免疫力低下」です。

オーバートレーニング症候群を予防するには?

トレーニングに対するやる気や向上心が低下してイライラしたり、必要以上に落ち込んだりしやすくなり、疲れが強すぎて寝つきが悪くなります。睡眠の質が十分でないと翌日になっても疲労を抱えたままの体なのでオーバートレーニングになりやすいのです。

オーバートレーニング症候群を予防するために、自宅でできることとして知っておきたいのが血圧測定です。血圧は、普段から健康に不安がある方が測るものと思われがちですが、ジュニアアスリートは起床時の血圧測定を日課にすることが推奨されます。

オーバートレーニング症候群の予兆として、起床直後の安静状態の血圧と心拍数の数値が高い傾向が見られます。計測を朝の日課にすると理想的です。「起床時の心拍数が1分間に10拍以上増加している」ならオーバートレーニング症候群の可能性があると覚えておきましょう。

ハードな負荷をかけた後で、休養や回復のタイミングが不足すると、「オーバーリーチング」という重度の筋肉痛を生じます。オーバーリーチングは、オーバートレーニング症候群への最後のイエローカードです。

このオーバーリーチングの状態を無視しなければ、オーバートレーニング症候群は防げます。ここできちんと防ぐためにも、普段は親子で朝の血圧測定と帰宅後に筋肉の状態を確認する習慣を持てるとベストです。

それでもオーバートレーニング症候群を発症したら?

オーバートレーニング症候群になった場合、最低でも数週間、場合によっては数ヵ月トレーニングを休めて休養する必要があります。ここで特に親や指導者が知っておきたいのが、「トレーニングを完全に断つべきではない」ということです。

ウォーキングやジョギングをしながら、1カ月程度経った頃から体調の様子に合わせて強度を高めていくのが理想的です。本人に何もしないように言いたくなるかもしれませんが、完全に何もしない状態を続けるのは得策ではありません。

いきなり、今までやってきたトレーニングを何もしてはいけないと言われると、ストレスでさらにパフォーマンスが低下する原因になります。トレーニングの前に行うウォーキングやジョギング、ストレッチ等を変わらず続けることも大切です。

「調子はどう?」「ご飯おいしく食べられる?」「眠くなったりしない?」等、心の状態に気を配ることも有効かつ大切な予防法です。そして、食事では「炭水化物・たんぱく質・脂質・ミネラル・ビタミン」の栄養素を意識してください。

特に、ビタミンCやB群を積極的に摂取するのが理想的です。ビタミンCは、色が濃い野菜に豊富で水に溶けやすいので、お味噌汁やスープを必ず添える習慣を持てるといいでしょう。ビタミンB群は玄米にも豊富です。

急に食事内容が大きく変わるとストレスになるということも覚えておきましょう。特に、食物繊維豊富な玄米は、普段から早食いの傾向があると十分に噛まずに飲み込んでしまい、しっかり栄養が吸収されず、胃腸に負担をかける可能性があります。

野菜不足の生活を続けてきたなら急にサラダをプラスするよりも、生姜焼きに玉ねぎやピーマンや人参を入れる、青菜やきんぴらのおむすびを補食にする等しながら、胃腸を野菜の食物繊維に少しずつ慣らしていくのが理想的です。

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